2020年12月17日IUCNが公表

原文は以下のウェブサイトをご確認ください:

https://www.iucn.org/news/species/202012/establishment-global-gibbon-network-initiative

IUCN種の保存委員会 霊長類専門家グループ 小型類人猿部門と、テナガザル類の保全のための国際的協力体制は、中国の海南国家公園研究院と天合公益基金会とともに、『テナガザルのグローバルネットワーク構想』を定めた。

『テナガザルのグローバルネットワーク構想』

 

ビジョン

 

参加型保全の政策・法制化・行動を促進し、アジアのユニークな自然遺産のカギ「歌うテナガザル」とその生息地を守り、保全する。

テナガザルの保全を効果的におこなうために、以下のゴール達成が必要だ。

 

  • 地域社会の人々の保全への意識を向上させる。

  • 地域社会の人々が生計のために利用する緩衝地帯を設け、その使用を安定的なものにする。

  • 保全からの恩恵と生計のための開発を調和させる。野生生物資源を利用する際は持続可能性を確保する。

  • 地域社会の人々と利害関係者が保護地域の運営に参加するように働きかける。

  • 国際的に評価される種の保存の実施事例、ショーケース・モデルにする。

  • テナガザルの保全と開発を両立し、生物多様性を守るために、内部資源を積極的に活用する。

  • 生息地を守り、さらには拡張する。生息地の質を向上させる。そして、回廊を創って、生物多様性が高いエリア同士をむすぶ。

  • 野生生物レスキューセンターを作り、研究をおこない、希少な遺伝資源を保管する。管理方法を改善し、法規制の実施能力を高める。生息域外保全(動物園)の専門家との関係を構築する。

 

上記のビジョン達成に、私たちは次のような姿勢で取り組む。

  • 目的意識を持って、行動指向的に:ビジョンの達成に集中して取り組む。

  • 意欲的に:利益関係者全員が達成に向けて懸命に努力するように動機づける。

  • 感動的に:熱意、そして責任ある態度での取り組みを促す。

  • 適切に:その場所に合った、歴史と文化を考慮した方法でおこなう。

  • 未来志向で:ビジョン達成にむけた活動を続け、新たな課題を乗り越える。

 

さらに、以下の項目を実施する。

  1. 世界中の、動物園をふくめた、テナガザル保全プロジェクト間の連携を強化する。

  2. テナガザルの保全が科学的に正しく実践されるように、意識を向上させる。

  3. 保全活動家・フィールド科学者・意思決定者に対して、IUCN承認のガイドラインを提供する。

  4. テナガザル保全のための行動計画を策定し、実務担当者・意思決定者・支援者の保全活動での優先事項を明確に記す。

  5. IUCNの絶滅危惧種レッドリスト™は意思決定に役立つツールとして、内容が満遍なく最新情報であるようにする。

  6. テナガザルの保全に取り組むプロジェクトの活動に対して、技術的支援を直に提供する。

 

達成には以下の取り組みが必要だ。

  • 地域の力を引き出し、保全教育活動と意識向上を促す。

  • 地域コミュニティを巻き込んで、保全に取り組む。

  • 現存の保護区のネットワークを正当なものにし、保護区の復元をする。保護区の管理を改善する。

  • テナガザルをフラッグシップ種に位置づけることで、保護区外であっても、生態学的に責任ある開発がおこなわれるよう促進する。このような野生生物保全の枠組みを発展させる。

  • 劣化してしまったランドスケープを復元する。

  • 孤立した個体群および流浪の個体を取り残さないように、ローカル個体群同士の将来的な交流をみすえた、メタ個体群の構築に取り掛かる。

  • 保全と野生生物管理の柔軟な枠組みのために、知識ベースのアプローチを取るように促す。

  • 野生生物の違法な取引など、既に存在している自然への人為的な圧力を軽減する。

 

 

(日本語訳:打越万喜子、2021年10月15日)